2024.11.25 |「今治に、落語文化を」3年連続の激レア落語会!

「今治に、落語文化を」
3年連続の激レア落語会!

〜今治市合併20周年記念「今治落語会」をプロデュース〜

春風亭 昇太(しゅんぷうてい しょうた)

SHOTA SHUNPUTEI

1959年生まれ、静岡県出身。1982年、春風亭柳昇に入門。86年、春風亭昇太となる。新作落語の創作活動に加え、独自の解釈で古典落語に取組み、文化庁芸術祭大賞を受賞するなど、新作、古典問わず高い評価を得ている実力派。2016年日本テレビ「笑点」六代目司会者となる。役者、ミュージシャンとのライブ、「城めぐり」関連の執筆・講演など、ジャンルを越えて積極的に活動。2024年には、東海大学への復学を発表している。

普通にオファーしても
成り立たない顔ぶれですよ

昇太師匠には、名誉タオルソムリエとして、今治タオルもお世話になっております。今年は、今治市合併20周年企画『今治落語会』をプロデュースしていただいていますが、その経緯について聞かせてください。
春風亭昇太師匠(以下、敬称略):今治市が20周年を記念して落語会をやりたいということで、七福タオル社長の河北(泰三)くんと、市長から話がありました。
そもそも、河北くんと僕は大学の後輩と先輩の間柄で、以前から今治で落語会を時々、開催していたんです。そのうちに、立川志の輔さんとか、さまざまな落語家と河北くんがプライベートで普通にゴルフ行ったりご飯食べたりして、つながりをつくっていったんですね。で、今回、そんな仲を知っている今治市長から河北くんに話が行ったというわけです。
なるほど。今治落語会は、大人気の落語家さんばかりラインナップされていますが、そのセレクションも昇太師匠が考えたのですか?

今治落語会全日程

昇太:河北くんと相談して決めました。なるべく豪華にしたいということだったので。
先日(2024年8月29日)の第一回目は、『志の輔・昇太二人会』というとても豪華な会だったのに、台風で中止になってしまいましたが。
昇太:正直言って、志の輔・昇太の二人会って、全国でやっているのは今治だけなんです。志の輔さんとは、入門期が似たようなもんなので、昔から仲良くはしているのですが、それぞれが独演会をやっているので、なかなか二人会ということにはならないんですよね。そういう意味では、幻に終わりましたが、第一回の今治落語会は、たぶん落語関係者はすごく驚いていると思います。今治で、志の輔・昇太ができるということに。そのくらいの組み合わせだと思うんですけどね。自分で言うのもなんですが(笑)。
でも本当にそう思います。私も落語が好きなんですが、びっくりしました。志の輔師匠との会は、リベンジはしないんですか?
昇太:しようと思っていますよ。いつになるかはわかりませんが。今回、「今治に落語の文化を根付かせよう」と、3年間続ける予定のプロジェクトなので、最初と最後に志の輔師匠にお願いしますと。で、最初は志の輔さん受けてくださって、最後は、「生きていれば行くよ」って。だから来ない可能性もあります(笑)。
(笑)。じゃあ、早くリベンジしてほしいですね。第2回は、林家たい平師匠、第3回は桂宮治師匠で、これもまた豪華ですよね。
昇太:普通にオファーしても成り立たない顔ぶれだと思います。河北くんの人間関係と、僕のお仕事関係がうまく両立しているからだと思いますね。
たい平師匠とは、よく二人会をされているイメージがありますが、宮治師匠とも親しいんですか?
昇太:彼は僕が会長を務めている落語芸術協会の会員で、入門したときからもう知っていますからね。有望な若手として、前座の頃から、この子は売れるなって可愛がっていて。そのうち笑点にも入りましたし。
本当に豪華メンバーですよね。

河北くんの家で、
バスタオルという贅沢を知りました

七福タオルの河北社長とは、学生時代から仲が良かったんですか?
昇太:東海大学の落語研究部で、僕が4年生のとき、彼が1年生だったんですが。
河北泰三氏(以下、敬称略):昇太さんはすごい先輩だったので、私が1年生のとき、1年間ほとんど喋れなかったですけどね。やっぱり1年のときの4年生の先輩って、ただでさえ怖い存在ですし。昇太師匠は学生時代からスターでしたから。その頃からテレビにも出ていましたし。
昇太:まあ、全然違うんです。この下々の者たちとは。
(笑)。

学生時代の昇太師匠と河北社長

昇太:でもだんだんほら、お互いに慣れてきて、普通に先輩後輩として付き合うようになりました。彼は唯一、風呂付きのアパートに住んでいたのもあって、よく泊まりに行っていたんです。最近は学生さんが風呂付きのアパートに住むのは当たり前だけど、僕らの時代ってそんなんじゃなかったんですよ。みんな銭湯とかに行っていて、風呂付きのアパートに住んでいる学生なんていなかったんです。
河北:僕の家はやや裕福だったので(笑)。
昇太:タオル屋の息子だからね。それで、お酒飲んで帰ってきたり、銭湯が終わっちゃった時間とかに、みんなこの人の家のお風呂に入れてもらうんですよ。で、風呂から出ると、タオルがいっぱいあるんですよ。たぶん僕ね、バスタオルをあんなに使ったのは、この人の家が初めてだと思う(笑)。それまで普通のフェイスタオルで体を拭いたりしていたんだけど、初めてバスタオルっていう、こんな贅沢なものがあるのかと思って(笑)。
河北:卒業後も年賀状のやりとりをしたり、私が東京に行くときは泊めてもらったり、なんだかんだつながってはいたんです。
昇太:それで僕が、26歳のときに二ツ目に昇進したんですが、二ツ目昇進って何をするかというと、羽織を着用できるというのと、
自分の手拭いを作ることができるわけですよ。で手拭いも作ったんですが、タオルを作ろうと思いまして。タオルといえば、河北くんだなあと。
もともとタオルがお好きだったということですか?
昇太:タオルは好きでしたよ。ていうかね、自分が落語家さんにご挨拶に行くときに手拭いを持っていくんですけれど、一般の方たちに手拭いを渡しても、いまあんまり使い道ないじゃないですか。だから手拭いと同じ柄でタオルを作って、気楽に使ってもらいたいなと思って。それで作ったら、すごく好評で、当時そんなことする人いなかったので。そのタオルが1989年、『DIME』という雑誌に取り上げられたんですよ。
小学館の『DIME』ですか?すごいですね。その頃はもう昇太さんは有名だったんですか?
昇太:有名ではなかったです。期待はされてましたけどね(笑)。
(笑)。
昇太:二ツ目に昇進したばかりだったから、期待の若手ではありましたが、まあそんなにテレビとかにたくさん出ている時代ではなかったんですけど、『DIME』に取り上げてもらって。
河北:そのおかげでうちの会社も助かったんですよ。当時はまだ今治タオルなんて誰も知らない時代だったのですが、その『DIME』にこんなオリジナルタオルが作れますよという情報を載せていただいたので、問い合わせがたくさんきまして。
昇太:そんなことがあって、ますます一緒にやっていこうかって感じになりましたね。それで、そこからさらに6〜7年経ったあとに、大きなホールで独演会をやり始めたのですが、そうしたら河北くんがまた「タオル作りましょうか」と言ってくれて。以来、独演会をやるたびに、タオルを作って送ってくれるという。
それはネットでも買えるんですか?
昇太:買えないです。独演会の会場でしか売りません。それでもけっこう売り切れますよ。

昇太師匠のロゴも入ったオリジナルタオル

そのデザインには、昇太さんのご意見も入るんですか?
昇太:基本的にご厚意で作ってくれてるので、河北くんにおまかせしています。それを販売して打ち上げをしています(笑)。
河北:今回のこれ(2024年10月独演会「オレスタイル」用)は、昇太さんの好きな今川義元の赤鳥の紋が入っていたり、静岡出身なんで富士山を入れたり。
昇太:七福タオルで余っている糸を使うから、毎回その時期の流行の色とか素材になるみたいです(笑)。
河北:小ロット生産なのでいろいろ工夫してやっています(笑)。

理事長が落語に感動して、
名誉タオルソムリエに

名誉タオルソムリエに就任されたのは、どういう経緯だったのですか?
河北:今治タオルブランドができて、2年目ぐらいに、ちょうど弊社七福タオルの50周年の落語会があって、『志の輔・昇太二人会』をやったんです。いまから14〜15年前ぐらいですね。そのときに、当時の今治タオル工業組合の理事長の藤髙さんが、お二人の落語に感銘を受けて、名誉タオルソムリエになってもらえないかと。
昇太師匠は普段も今治タオル使っているんですか?
昇太:使ってないわけないじゃないですか!おかしな話になるじゃないですか、「中国製のタオルが好きでねー、あれ最高!」とか。
すみません(笑)。
昇太:やっぱり今治タオルは、風合いと吸水性がいいので、使いやすいと思います。あとやっぱり長持ちするのがいいですね。使えば使うほどふわふわになっていく。使ってくれた人からの評判もとてもいいですね。

エスパルスの次に、
FC今治を応援しています

今後、今治に…あまりないかもしれないですけど、どう関わっていきたい、みたいなことはありますか?
昇太:その土地の産業で頑張ってる土地ってたくさんあるじゃないですか。なかでも今治は、昔からタオルの生産をやってきて、そのブランド化に成功した、本当にいい例だと思いますよね。今治タオルって、いまやもう日本人だったら誰でも知っているような製品になりましたよね。それはもともと、タオルを作る技術が高くて、底力があったから。僕はたまたまその今治タオルの仕事をしている河北くんの先輩ということで、名誉タオルソムリエまでさせていただいているので、いろんなところでお力になれればありがたいなと思っています。
昇太:それから、僕、静岡の清水の生まれなんで、清水エスパルスのサポーターなのですが、やっぱり、いつかJ1で「清水対(FC)今治」という試合を見たいなと。
ああ、昇太師匠は、かなりサッカーファンで、エスパルスの試合に通われているんですよね。
昇太:はい。今年、今治がJ2に上がる可能性がけっこうあるわけですよ。で、清水エスパルスがJ2に残ってたら来季戦うことになったかもなるかもしれないんですが、いまエスパルスはJ2の2位なので。
J1に上がりそうなわけですね。
昇太:一応僕としては、上がってほしいので、来季は対戦なしかなと。
じゃあ、今治が頑張ってJ1に上がるしかないですね。
昇太:そうです!岡田(武史)さんにも一度お会いして、お話をさせていただいたのですが、すごく魅力的な方でね。本当に今治という町づくりに、サッカーで貢献していこうという、強い想いを持っていらっしゃって。すごいなと思って、応援しているというか、非常に興味を持って見ていますよ。エスパルスサポーターですから、残念ながら今治のサポーターになることはないのですが、J3で最も応援しているのは今治ですし。これからもエスパルスの次に、今治を応援していきます。
ありがとうございます。思った以上に今治にお詳しいので驚きました(笑)。

僕は、自分に興味がすごくあるんです

最近、東海大学に復学されて、大学に通われているというお話が衝撃的だったんですが、それはどういう目的なんですか?
昇太:目的?卒業ですよ。僕、大学中退してるので。卒業以外になんの目的があると思ったんですか?
ネタづくりとか…。
昇太:生きていれば、僕らはなんでもネタになるんですよ。だから、そんなことは考えていないですよ。その辺のわけのわからないタレントとは違うんですよ!
失礼しました(笑)。
昇太:僕は、自分に興味がすごくあるんですね。自分がやりたいことをやるっていう。しかも、落語家って、それができる仕事なので。時間を見つけてやれば、大学で単位取れるんじゃないかなあと。当時中退したのも、まあ卒業しようと思ったらたぶんできたんだけど、「落語家に卒業の資格なんていらないだろう、中退ぐらいの方がかっこいいな」くらいに思っていたので、途中で辞めちゃったんです。でも、この歳になってくると、勉強に興味が湧いてきて、卒論みたいなものも書いてみたくて。僕のなかでは、卒論書くために大学に行く、みたいなところは、ちょっとありますね。
卒論書くんですか?テーマは決まっているんですか?
昇太:たぶん書いてもわからないと思いますよ。「チャシの結界と防御性」というテーマなんですけれど。
本当にわからないですね…。
昇太:チャシというのは、北海道のアイヌの人たちが作った砦という意味なんですよ。堀が掘ってあって、その幅のことを考えると、軍事性の高い幅と、どう考えても軍事性はないなっていう幅のものがあるんですよ。それを調べて、軍事性の低いものは、祭司用。軍事性の高いものは、城としての機能を持っているという、その辺の関係を書こうと思っているんですけど、そんなこと書いたってわからないですよ。
ああ、つまり、城なんですね。
昇太:そうそう、そういうことです。簡単にいうと、城について書きたいってことでいいですね。
本当にエネルギッシュですばらしいですね。今治落語会も2026年まであるなら、ぜひ伺いたいです。これからも今治をよろしくお願いいたします。


今治落語会
https://imabari20th.jp/culture-sports/culture-sports-3546/

春風亭昇太(公式サイト)
https://shunputei-shota.com/

七福タオル株式会社
https://www.shichifuku-towel.co.jp/

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